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全力で萌えつきることをここに誓います ※ネタバレ水曜日
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再熱した!とあったので、この機会に止まっていた龍兄をのっけようと思います。もっと燃え上がればいいのに!(笑)
やっぱり龍兄は制服が一番似合うと再認識しました。

それでは続きから、いい加減古くなってしまったうんぽこめのブラコンズ2です。今更のように半年ほど前のものをです。またブログからサイトのほうに乗せようと思いますー。



 


じっくりと半袖から覗く腕を揉み、黒鋼の手はそのまま指先まで辿った。
ふらりと肌から離れ、背中を辿るとその手は今もちゅうーと舌を吸っているファイの頬をつんつんとつつく。
つんつんと呼ばれてファイはやっと口づけを止めた。不服そうな顔を上げ黒鋼に問う。
「なにー」
「わさび味、どうだった?」
「黒たんの味しかしない」
答えに黒鋼は喉奥で笑った。ファイを抱いたまま腕を伸ばし、おかきが入った籠を引き寄せる。
中からひとつを取り出すとぴりぴりと透明の袋を破る。おかきを手に、ファイの鼻先で揺らした。
「ほら」
「んん?」
「うまいぞ」
「・・・・・・えー。ホントにおいしいー?」
「俺は好きだな」
ふぅん、とファイが返すと顔を近づけまずおかきを匂った。
つんとくる匂いに眉を寄せたかと思うとがぶ、と齧り付く。
口の中に招きいれ、表面を味わったところで少し咽た。ぼり、と噛んだ瞬間にファイが悲鳴を上げ、辛い、と白い指が黒鋼の腕をきゅっと掴んだ。
「!う、うわ!」
「どうした?」
「か、辛い!」
「辛い?」
「うー、辛い!黒たん辛い!」
くしゃっと顔をゆがめ、もう一度辛い!と黒鋼に八つ当たりをするとファイが視線を落とした。
辛い口内を何とか鎮めようとしているのか、必死に顔をゆがめて口をもぐもぐさせている。珍しいが目には涙も浮かんでいる。
その必死な様子にぽかんと黒鋼はファイを見詰めた。
そんなに辛かっただろうか、というより辛い?と先ほどまで食べていたおかきの味を振り返る。けれども辛くはなく、ぴり、とした刺激は好ましかった。しかし腕の中のファイは今も顔をゆがめて辛いーとしくしく泣いている。
しくしくうそ泣きしている顔をまじまじと見ていると辛い、と言いながら黒鋼の胸元に顔を埋めた。
あまり見せない表情に動揺していると突然ガブ、と胸に噛みつかれ、甘えて擦り寄っている身体を引き剥がした。
「痛ぇな。何すんだ」
「だって辛い!」
「そんなに辛いなら口の中のもん出せ」
ほら、と手のひらを出すと食べるよ!となぜかぷりぷりと怒りながら返された。そして次に牙を剥き、いーっと歯を見せられる。
なんじゃそりゃ、と呆れながらも黒鋼が頬を挟み、ファイの唇を尖らせた。
「そんなに辛かったか?」
「からい!わさびなんかもう絶対に食べないよ!」
わかったわかったとファイをあやすと唇を舐め、辛くて仕方が無いらしい舌を絡め取った。辛いーと言っているのだろうくぐもった声に黒鋼は笑い、わかったわかったと、ファイの薄い舌をじっくりと舐め舐った。



小龍がエントランスの受話器を取り、押し慣れた番号を押した。すぐに相手が出て、ちょっと待ってーと声が耳に届く。すぐにがしょんとエントランスのロックが解除され、小龍はありがとうございます、と言って受話器を置いた。
足取り軽く階段を駆け上がり、目的の階に辿り着くとその踊り場で珍しい人物が待っていた。
体育教師だ。
「え?黒鋼先生?」
「おう」
「どうしたんですか」
ちょっとな、と体育教師が肩を竦めるともたれさせていた身体を起こし、小龍に近付いた。そしてひょいと手にしていたものを小龍に手渡す。それをちら、と見遣り、また小龍は怪訝な顔を相手に向けた。
「・・・・・・なんですかコレ」
「辛口チーズおかき、のりわさび味」
手にしたパッケージに書かれた文字をそのまま読む体育教師に、小龍ははぁ、と返した。
「・・・・・・それがどうかしたんですか?」
「あいつに食わせてみろ」
あいつ?と首を傾げるとすぐに思い至ったのか、あぁ、と小龍は続けた。
「ユゥイ先生にですか?でもあのひと、わさび味は嫌いなんじゃないかな」
さりげなく断ろうとすると、体育教師がじっと小龍の瞳を見詰めた。その視線の意図が分からず、ただ踊り場に突っ立っていると可愛いぞ、と言葉が落ちた。
「・・・・・・はい?」
「これを食わせてみろ。可愛いぞ」
「・・・・・・。ファイ先生に食べさせたら、可愛かったんですか?」
「ああ。辛いものは苦手みたいで、食べさせてみたら可愛かった。珍しく」
「ファイ先生が可愛いって、珍しいですね」
「ああ、珍しい」
ふぅん、と返すと小龍は体育教師が持っていた袋を手にとる。食べかけのものを渡され、けれども小龍はありがとうございます、と返した。
その返事に体育教師はおう、と返し、スリッパをぺたぺた鳴らせて階段を下りていく。ふぅん、と小龍は手にやってきたおかきにまた首を傾げ、辛そうだなぁと眉を寄せた。
ユゥイは、料理人だからか、意外とチャレンジ精神に富んでいる。
食に対して純粋な興味があり、刺身も美味しいですよの一言で食べていた。苦手なものもあるのだろうが好き嫌いは無い。興味からこのおかきにも手を出すだろうかと首を傾げながら ポケットから鍵を取り出し、いつもと同じように玄関のドアを開ける。玄関にはここの住人がいつも履いている靴があり、お邪魔しまーす、と小龍は声を張り上げた。
うがいと手洗いを済ませダイニングのドアを開けると、やはりそこにこの部屋の住人が居た。何かを作っているのかキッチンに立ち、小龍の姿を認めるとにこりと笑みを向けた。
「寒くなかった?」
「大丈夫ですよ」
なに作ってるんですかと小龍はキッチンに移動し、きゅっと背後からユゥイを抱き締めた。
抱き締めた途端に小龍が持っていた袋が音を立て、ユゥイがそれに首を傾げる。
「なにそれ」
「辛口チーズおかき、のりわさび味。だそうです」
体育教師と同じようにパッケージに書かれている文字をそのまま読むと、ふぅん?とユゥイが袋を取った。
「先生、わさびって食べたことあります?」
「お刺身食べるとき、マヨネーズとわさびで食べるよ」
「それ、黒鋼先生に言わないほうがいいですよ」
苦笑しながらも言うとユゥイが袋の中に手を突っ込んだ。ひとつを取り出ししげしげと見詰めた。
「おいしいみたいですよ、ソレ」
「ふぅん。わさび煎餅みたいなものじゃないの?小龍くん食べた?」
「いいえ、まだ」
それにもふぅんとユゥイが返し、ぴり、と個包装されているナイロンを破る。そしてぽいと口の中に放り込んだ。
今回もどうやら味に対する興味が勝ったのか、はじめてみるものを躊躇いも無く口に放り込むユゥイにおおー、とひとり感心し、小龍がじっと見上げた。
けれども口に含んだ途端に動きが止まり、もご、と口の中のおかきを転がす。
「どうです?」
「う、わ!からい」
「そりゃ辛口ですから」
言うと小龍は首を傾げた。飄々と返してくる相手にユゥイは涙目で睨みつけ、口を押さえて詰る。
「うー、からい!これってわさびの味じゃないでしょッ!?」
「そうなんですか?でもわさびって書いてますよ」
「辛い!」
くしゃっと顔をゆがめ、ユゥイが小龍に泣き付いた。
おおー、と泣きついてきた相手にまた小龍は感動し、口を押さえつけているユゥイの手を退けた。
顔を歪めているユゥイをまじまじと見上げると、ぺろりと唇を舐める。視線が合うとにこりと笑い口を塞いだ。
唇を割り舌に触れるとすぐにおかきを見付け、唇を食む。そしてびく、と震えた身体を撫で、ユゥイには刺激が強すぎたおかきを舐め取った。
もごもごと舌を絡めるとユゥイがまたからい、と文句を言っているのかもごもごと唸る。はいはい、と肩を撫でるとちゅっと口づけを止めた。そしてユゥイの身体を抱き締めよしよしと長い髪を撫でる。
切ない息を吐いた相手の身体をゆったりと撫で、小龍は落ち着くのを待ってから口を開いた。
「大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫じゃない」
「辛かったですね、すみません」
苦笑しながらも小龍はユゥイの背中を撫でると、ユゥイも素直に甘えた。すり、と頬を頬にすり寄せられ、くすぐったげに小龍が笑う。
確かに可愛いなぁと小さく笑うと、また小龍はユゥイの身体を撫でた。

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